題目:『非エルミート量子系の物理』
講師:井村 健一郎 (東大生産研)
日時:11/15(火) 16:00~
場所:理学部E211室(第10講義室)。
概要:
エルミートでないハミルトニアンの記述する量子力学について考える。
格子上の電子、あるいは固体のエネルギーバンドを記述する1次元のtight-binding模型において、
電子が左右のサイトに飛び移る振幅が異なる場合(いわゆる羽田野-ネルソン模型)
が考えたい典型的な状況である。この系のエネルギー固有値は、周期境界条件下で複素数になる。
一方、固有状態は、開境界条件下で表皮効果を示す(全固有状態が片方の端に局在)。
非エルミートなトポロジカル絶縁体(ギャップレス/ゼロエネルギーのエッジ状態が存在)
について議論したい。具体的には、トポロジカル絶縁体におけるバルクエッジ対応の考え方が、
上で述べた非エルミート系の性質と相容れるものであるか、議論する [1,2]。
また、時間が許せば、非エルミート量子系における波束と量子もつれのダイナミクスに関する
より最近の結果を紹介したい [3]。
[1] K.-I. Imura, Y. Takane, Phys. Rev. B 100, 165430 (2019).
[2] K.-I. Imura, Y. Takane, Prog. Theor. Exp. Phys. 2020, 12A103 (2020).
[3] T. Orito, K.-I. Imura, Phys. Rev. B 105, 024303 (2022).