NITEP・数理・素粒子合同セミナー

magnetized torus と離散対称性

Asia/Tokyo
E101室(ハイブリッド)

E101室(ハイブリッド)

Description

日時 : 2024年05月09日(13:15--14:45)、10日(13:15--14:45)
講演者 : 上村尚平 氏(大阪公立大学)
題目 : magnetized torus と離散対称性
アブストラクト:素粒子の標準模型は現在観測されているほとんどの観測結果と明確には矛盾しておらず、電弱スケールより下の物理をうまく記述していると考えられている。しかし、標準模型には重力の量子論が含まれていなかったり、パラメータに不自然な階層性があるなどの疑問点あることが知られており、宇宙の究極の理論ではないと思われる。
重力の量子論として最も有力だと考えられているのが超弦理論である。超弦理論は10次元時空上を運動する弦の力学であり、余剰6次元をコンパクト化する事によって、有効理論として4次元の場の理論が得られる。超弦理論の4次元有効理論がどんなものであり、どうすれば計算できるのだろうか?

このセミナーではまず magnetized torus という手法をレビューし、超弦理論からどのように4次元有効理論が得られるかを紹介する。
この手法を用いると4次元有効理論に摂動的な離散対称性が現れることを示すことができる。離散対称性には様々なものがあるが、特に近年、モジュラー対称性と呼ばれるものが現象論で注目されている。
これは4次元有効理論がコンパクト空間のモジュライのモジュラー変換のもとで不変であるという性質であり、この対称性を課すことで、自然に標準模型のフレーバー構造を実現できるのではないかと考えられている。

我々は magnetized torus の場合について理論のモジュラー対称性について考えた。さらにモジュラー対称性を課すことで自然に Froggatt-Nielsen 模型的な質量行列を実現し、クォークのフレーバー構造を実現できる模型を構築した。また、可能ならばどのように6次元の余剰次元を力学的に安定化させるかや、最近考えているCP対称性などについても話したい。