NITEP談話会

第48回NITEP談話会

Asia/Tokyo
Description

タイトル:「J-PARC ミューオンg-2/EDM実験の状況とミューオン冷却・加速の実証結果」

講演者:吉岡 瑞樹(九州大学大学院理学研究院・准教授)

要旨:「素粒子であるミューオンの異常磁気能率(g-2)の実験値と素粒子標準理論の計算値の間に有意な乖離が見られており、長年に渡る未解決問題となっている。近年の研究により、素粒子標準理論を超える新しい物理法則の存在により、g-2は素粒子標準理論よりも大きな値を持つことが示唆されている。このような背景から、g-2の実験値を高精度で検証する重要性が増してきており、先行実験とは異なる実験手法による新しい測定が求められている。
また、電気双極子能率(EDM)は時間反転対称性を破るため、未知の物理法則の対称性を研究する有力な手段である。J-PARCでは従来とは異なる研究手法によりミューオンg-2および電気双極子能率(EDM)の超精密測定を行い新物理の存在に迫る実験の準備を進めている。
 本講演では、最近行った世界初のミューオンの冷却・加速実証実験の結果を含め、J-PARCでのミューオンg-2/EDM実験の現在の状況と今後の展望を紹介する。」

日時:10/11(金) 14:00 - 15:00
場所:大阪公立大学(杉本キャンパス)化学科棟サイエンスホール

補足:速度ゼロの正ミューオンを作るために、エアロジェルに生成させたミューオニウム(電子と正ミューオンの電磁的束縛状態)をレーザーで乖離させる技術を使い、また、将来のエネルギーフロンティアとして期待されているミューオンコライダーに繋がる重要な基礎的技術でもありますので、素粒子実験関係者のみならず、宇宙、物性、素粒子理論、学生/院生の方々に広く来ていただけると幸いです。