題目:ガンマ線で見る高エネルギー宇宙
講師:窪 秀利 先生(京都大学大学院 理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻 准教授)
日時:2019年12月19日(水) 15:15-16:55
場所:理学部会議室(E108)
超高エネルギーガンマ線による宇宙の研究は、2000年代に入り大きく進展し、 巨大ブラックホール天体、中性子星、超新星残骸、宇宙最大の爆発現象である ガンマ線バーストなどを観測し、高エネルギー天体現象の発生メカニズムや 宇宙線起源などの問題に迫り、宇宙物理学の新たな一分野を形成した。
さらに、近年の観測で、天体からのガンマ線放射とニュートリノ放射の相関が 示唆され、多波長電磁波および粒子観測、重力波観測とともに、 マルチメッセンジャー天文学を進展させている。また、天体自身の研究のみならず、 ガンマ線観測を通して、暗黒物質対消滅ガンマ線探索やローレンツ不変性の検証も 行われている。これらの研究をさらに発展させるべく、日本を含む世界31か国の 国際共同により、従来よりも一桁高い感度かつ広いエネルギー帯域(20 GeVから300 TeV)で 全天観測を行う、約100台のチェレンコフ望遠鏡アレイ(CTA)の建設が進められている。
本講演では、超高エネルギーガンマ線望遠鏡による最新の観測結果および CTA計画の進捗状況と期待される成果を報告する。