物理学教室談話会/第17回 NITEP談話会
物理学教室談話会『初代宇宙線と宇宙磁場の起源』
講師:大平 豊(東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻)
アブストラクト:現在の宇宙の様々な天体には宇宙線を代表例とする高エネルギー粒子と磁場が存在する。宇宙線とは、宇宙プラズマの平均的な温度(~1eV)に比べて桁違いに高いエネルギー(10億eV以上)を持つ荷電粒子である。宇宙線や磁場は、様々な天体において重要な役割を果たしていることがわかっている。しかし宇宙が誕生してから、いつどこでどのように最初の宇宙線と磁場が作られ始めたのか?はまだわかっていない。現在の宇宙では、宇宙線を加速するために磁場は必須である。そのため宇宙誕生後、天体スケールの磁場が形成されたのちに、宇宙線が加速されるシナリオがすぐに想像できる。私は近年、宇宙誕生後最初に形成される星の爆発で最初の宇宙線が加速され、その宇宙線によって天体スケールの磁場の種が形成されるシナリオを提案した。今回はそのシナリオについて講演する。