NITEP談話会

物理学教室談話会/第19回 NITEP談話会

Asia/Tokyo
Description

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【第1回:7月7日(木) 10:45 - 12:25 (遠隔開催)】
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1. 堀内 渉  氏  40(+10)
2. 板垣 直之 氏  40(+10)
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1.
講演者: 堀内 渉  氏
題目  :「少数体量子力学手法による原子核構造・反応の研究」
概要  :
原子核は原子質量の99%以上を占める極小物質で、量子力学的現象の宝庫であ る。その構成は主に核力で相互作用する陽子・中性子であり、原子的(殻構造) 的な秩序や分子的(クラスター)構造といった多様性を持つ。
そのような特異な構造は、宇宙環境における原子核反応率に影響を与え、我々の 身の回りの元素の起源の理解につながる。近年の加速器実験技術の発展により、 安定に存在する原子核だけでなく、短寿命原子核の性質が盛んに調べられてい る。未知の原子核の性質や、実験困難な宇宙核反応率を予測するためには信頼の おける理論による記述が唯一の方法である。
本講演では私が現在まで進めてきた精密少数体量子力学手法による原子核構造や それらの反応ダイナミクスの理解に向けた研究成果をいくつか紹介し、それらの 展望について述べる。
2.
講演者: 板垣 直之 氏 40(+10)
題目  :「原子核構造における異なった描像の混在と非中心力の役割」
概要  :
 原子核の構造を研究する上での物理的意義・あるいは魅力とは何であろうか?
もし仮にそのような問いを投げかけられたならば、「原子核には異なった描像や 模型が存在し、それらが量子力学的に混合・競合する点が興味深いから」、と答 えると同時に、「陽子や中性子の間に作用する核力の中に含まれる非中心力が特 徴的な役割を果たすから」と付け加えるであろう。
 この2つの答えは、実は密接に関連している。本講演では、原子核の統一的な 描像の確立を目指した取り組みを紹介すると共に、そこにおける非中心力の役割 について述べたいと思う。
原子核における最も標準的な見方とは、シェル構造である。陽子や中性子は、自 分たちであるポテンシャルを作り出し、その中を独立に運動する。もうひとつの 見方はクラスター構造である。
これは4He(α粒子)など、特に結合の強い原子核が部分系を構成する、というもの である。
 ここで、非中心力のひとつ、スピン・軌道力は、クラスター構造を壊し、シェ ル構造の対称性を良いものとする。逆に、もうひとつの非中心力であるテンソル 力は、α粒子の強い結合の源であり、クラスター描像を支持する方向に作用す る。超新星爆発の観測などにおいて重要な役割を果たす44Ti原子核を例に、両者 の競合や、原子核構造の統一的模型の構築について解説したい。