第4回関西核多体セミナーのお知らせ
- 日時 2024年1月12日(金) 15:30-
- 場所 大阪公立大学文化交流センター・ホール
〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田1丁目2−2−600 大阪駅前第2ビル6階 - 講演者 明孝之(大阪工業大工)
- タイトル 軽い不定核におけるソフトダイポール共鳴の可能性
- 概要 中性子過剰核では過剰な中性子群の運動による特異な励起状態が期待される。ソフトダイポール共鳴はその一つであり、中性子ハロー核・スキン核において過剰中性子群が芯核に対して逆位相で振動する集団的な励起モードとして考えられている。本講演では軽い不安定核においてその可能性を理論的に探る。具体的には最近、8Heの1-状態において、その候補となる共鳴を見つけた。この共鳴の構造とダイポール遷移を議論する。またミラー核である陽子過剰核8Cにおいても同様の構造を持つ共鳴を見つけた。ソフトダイポール共鳴について、アイソスピン対称性の観点からも議論する。
[1] T. Myo, M. Odsuren, K. Kato, PTEP 2022 (2022), 103D01
[2] T. Myo, K. Kato, Phys. Rev. C 107 (2023), 034305
「関西核多体セミナー」とは
原子の内部に小さく存在する原子核は、陽子や中性子と総称される核子からなる多体系である。この核子の多体系である原子核の構造を明らかにすることが、核子多体の物理学である。核子多体の物理学は、それ自体が量子力学的な重要性を持つと同時に、「我々の身の回りに存在する元素が、宇宙のどのような環境において作られたのか」と言った根源的な問題とも密接に関連している。核子多体系である原子核は、最近ではがん治療などの応用面でも注目を集めている。
本「関西核多体セミナー」は、大阪公立大、京都大、大阪大などの関西地区の大学において第一線で活躍する当該分野の理論の研究者が中心となり、企画するものである。毎回セミナー形式で研究成果の発表を行い、その後、十分な時間を自由な意見交換にあて、インフォーマルな議論を活発に行うことで、当該研究分野の活性化と将来の展望を切り拓くことを目的とするものである。
具体的に議論すべき物理学の内容としては、現在稼働中の理化学研究所・RIBFや大阪大RCNPなどの国内の加速器実験施設や国外の実験施設から提供される、不安定核・超重核・高励起状態・高スピン状態などのエキゾチックな原子核に関する数多く問題に対して、理論面からいかに迫っていくべきか、などが挙げられる。